金属アレルギー Q&A
- Qチタンはアレルギーが起らないのですか?
- チタンもリスクは非常に低いですが、アレルギーを起こすことがあります。チタンは生体適合性の高い金属ですが、他の歯科用合金に比べて現在まで使われる機会が少なかったので、アレルギーを発症することがあまりありませんでした。最近になり、チタンが原因と思われる疾患の報告が見られるようになってきました。しかしながら生体親和性は高く、アレルギーを起こすことは非常に稀なので、基本的には心配いらないでしょう。
- Q昔からアレルギー体質です。歯科治療を始めますが、何か注意することはありますか?
- アレルギー体質の患者さんは、何にでも反応してしまうわけではありません。皮膚科やアレルギー科と連携をとり、アレルギーの原因を検索し、アレルギーを起こしにくい材料を使って治療を進めていきますので大丈夫です。注意することは、急ぎすぎて治療しないことです。歯科材料、歯科治療に対する恐怖心を持っている方が多くいらっしゃるので、材料についてのインフォームド・コンセプトは、とくに気をつけて対応しています。
- Q自分にあっている歯科治療材料はありますか?
- 現在アレルギーによる症状があるなら、アレルギーを起こしている物質を探し出したうえで、その物質以外のアレルギーを起こさない歯科材料を探すことが必要です。医療に使われる材料は、厳しい検査や試験をパスしたものではありますが、誰にでも絶対大丈夫な材料というものはありません。個人個人の体質にあった治療材料を使うことが大切です。
- Q皮膚科に紹介状を書いてもらえますか?
- 金属アレルギーの患者さんを歯科のみで治療することは困難ですので、他科と連携して治療に当たることは重要なことです。もちろん紹介状はお書きします。紹介状の内容は、少なくとも現症、発症時期、患者のアレルギー素因(アレルゲンがあればその物質名)、現在の治療内容、使用材料、肉眼的・レントゲン所見から口腔内にある炎症の有無(歯周病、口内炎、根尖性歯周炎等)といった治療を進めるにあたり必要な内容です。
通院中の病院や医院があれば、担当医に皮膚科的・内科的疾患の有無を、紹介すると同時に問い合わせて、効率的に治療を進めていくことができます。
- Qアレルギーが出たのだけれど…
- まずは、何のアレルギーがあるのかお伝えください。皮膚炎や不快症状のことをアレルギーとおっしゃる患者さんも多く、原因もはっきりしないことが多くあります。皮膚科と連携して、対症療法と原因検索を行ったうえで、アレルギーであることやアレルギーの原因が判明させていきます。それが歯科材料によるものであれば、再度、当該物質を含む材料の除去を行う必要があります。アレルギー素因がもともとある患者さんもいるので、初診時の問診でアレルギーについて必ずお伝えください。
- Q歯科治療を受けて、修復物装着後に皮膚炎を発症しました。入れた修復物を除去した方がいいですか?
- 焦ってはいけません。修復物材料中の何がいけなかったか、また除去した後に何を入れるか決まっていますか?皮膚炎と修復物の関係は、時間的な一致だけではありませんか?むやみに修復物の除去を行えば、咬合関係は失われ、歯科医師と患者さん双方に、時間的・経済的・精神的な負担を強いることになり、あなたのQOLを結果的に低下させることにもなりかねません。アレルギーを疑われるのであれば、皮膚科などに紹介して精査と対症療法を行ってもらい、原因が歯科治療にあるという確証を得てから除去しても遅くはありません。
- Qアマルガム充塡は除去したようがよいですか?
- 患者さんが水銀にアレルギーがあるとわかっている場合は、もちろん除去して交換の治療を行います。水銀アレルギーを心配している患者さんにも交換治療は行います。除去後に修復する材料についても、レジンにアレルギーのある患者さんもいらっしゃるので、できればパッチテストを行い、安全な交換の材料を決定したうえで、除去することをお勧めします。
- Q入れ歯の調整を行ったら、粘膜の炎症が起こりました。アレルギーでしょうか?
- アレルギーの可能性はありますが、まず刺激性の接触性粘膜炎や入れ歯による褥瘡性潰瘍も考えられます。もちろん調整に使用した素材について確認することも必要でしょう。ただ入れ歯の調整材料には刺激性も高いものもあり、粘膜に炎症を起こすことがしばしばあります。今一度水でよく洗い流してみるのも効果的です。アレルギーではなく一時的な炎症であることが多いですので、あまり心配されずにしばらく様子をみてみてください。
- Qブリッジを装着してから違和感があります。アレルギーではないか心配です。どうしたらいいですか?
- アレルギーであると心配しているのであれば、使用した材料や物質によるパッチテストを行い、アレルギー反応かどうかの確認していきます。新たに治療したあとしばらくは違和感あることが多く、心配はいりません。
- Qいままでアレルギーなどなかったのに、金属アレルギーと診断されました。どうしたらいいでしょうか?
- 花粉症が突然発症するのと同じように、金属アレルギーも突然発症します。ある物質に対して生体が長時間接触することにより、接触アレルギーが発症すると考えられています。もしアレルギーの既往があるのでしたら、詳しくお伝えください。その成分や金属を使用しないように注意しながら、治療をしていきます。
- Qハイブリットセラミックスはアレルギーを起こしませんか?
- アレルギーを起こす可能性は極めて低いです。ただし絶対起こさない材料はありません。ハイブリットセラミックスはレジン系の材料であることも忘れてはいけません。補強として金属を使用しなければ修復できない場合もあり、材料の種類をかえって増やしてしまうこともあります。審美性の高い材料ですが、金属アレルギー患者さんに対しても、さらにレジンアレルギーがないかどうかを確認する必要があります。歯科医師とよく相談して治療材料を選択していきましょう。
- Q口内炎が治りません。アレルギーでしょうか?
- 金属アレルギーの可能性も否定できませんが、口内炎は形態や病因、時期、部位に基づきさまざまなに分類され、診断名も異なってくる炎症性の疾患です。口内炎の原因は、局所における物理的・科学的・生物学的刺激によるものや、全身的な疾患が口腔内に波及する場合もありますが、原因が不明なものも少なくないため、感染性のものは病原を明らかにして、的確に診断する必要があります。物理的な刺激が病変部付近に存在しているかどうかを確認して、アレルギーでないかどうか診断していきます。
- Q掌蹠膿胞症が金属アレルギーだというのは本当ですか?
- 金属アレルギーが原因で起こるとこともあるという点では間違いではありませんが、すべての掌蹠膿胞症が歯科金属によるアレルギーで発症するわけではありません。掌蹠膿胞症は口蓋扁桃に関連した病巣アレルギーと考えられてますが、感作されていることが判明している金属元素があれば、口腔内で使用することは避けましょう。
- Q金属をはずしたのにアレルギー症状が治まりません。
- 1、2ヶ月でよくなることは少ないと思ってください。除去後少なくとも1~2年間はフォローが必要です。当然のことですが、パッチテストや口腔内の金属元素を分析をして、アレルゲン、原因となる修復物を確定した後に、修復物の除去を行うことも重要です。
- Qアトピー性皮膚炎の原因はアマルガム合金なのですか?
- アトピー性皮膚炎の原因はさまざまで、免疫機序によらない悪化も報告されています。アトピー性皮膚炎の原因が金属アレルギーであると確定するためには、パッチテストなどで金属の感作を確認する検査が必要になります。アマルガム合金によりアトピー性皮膚炎が悪化することはあります。アマルガム合金には水銀が含まれており、水銀は金属アレルギーを起こしやすい金属の1つです。アマルガムを取り除くことによって、アトピー性皮膚炎が治ることもあります。そのためアトピーの悪化因子になっていることも考えられますが、すべてのアトピー性皮膚炎がアマルガム合金で悪化するわけではありません。
- Q金属アレルギーとアトピー性皮膚炎とは関係ありますか?
- 金属アレルギーの発生原因の主体は、主に細胞性免疫によるIV型アレルギーです。ですから、液性免疫が関わるI型アレルギーのアトピー性皮膚炎とは異なります。
ただ注意すべき点は、アトピー患者さんの約25%が金属アレルギーを合併することです。つまり、アトピーと金属アレルギーの両方を持つ患者さんも珍しくはないわけです。歯科金属の感作によりアトピー性皮膚炎が悪化することはあります。お口の中の金属を取り除くことによって、アトピー性皮膚炎が嘘のように治ることもあります。そのような観点からすると、金属、歯科金属がアトピーの悪化因子になっていると考えられますが、すべてのアトピー性皮膚炎が金属で悪化するものではありません。
- Q金属アレルギー症状が出やすい季節は有りますか?
- 金属アレルギーは、気温が上昇して、湿度も上がり始める5~6月頃に悪化することが多く見られます。気温の低い季節にはあまり出なかった汗が、多く出るようになることと関係しているからです。しかし更年期の女性の方や自律神経失調のある方は、季節に関係なく出やすいとも言えます。もちろん歯科金属がたくさん入っていて、金属に強いアレルギーを持つ方は、季節に関係なく出ることがあります。
- Qパッチテストを受けるには、どこに行けばいいのですか?
- 金属アレルギーのパッチテストは、どこの皮膚科ででも出来る訳ではありません。アレルギーを専門にしている皮膚科のクリニックや病院に限られます。あらかじめ金属アレルギーに対応されている病院かどうか確認されるといいでしょう。もちろん当院で、連携を取っている病院に紹介状を書くことも出来ます。
- Q金属アレルギーのパッチテストには、どれぐらいの費用がかかりますか?
- スタンダードな検査では、18種類(金属種は17種類)の金属を調べます。健康保険(3割負担)が適用されるので、患者さんの負担は約2000円ぐらいです。
- Qパッチテストを受けるときに、注意することはありますか?
- テープを貼っている2日間は、その部位(通常は背中)を濡らすことができません。濡らさないようにシャワーを浴びたり、頭を洗ったりすることは可能ですが、浴槽に入ることはできません。また激しい運動や、発汗を伴うサウナなども控えてください。
- Qパッチテストで陽性が出ない場合には、金属アレルギーではないのですか?
- パッチテストは最も簡単で侵襲(痛みやストレス)がないために頻用される便利な金属アレルギーの検査です。ただしこのようなアレルギー検査では、金属アレルギーが実際には存在するのにもかかわらず、パッチテストが陰性に出てしまうという「偽陰性」の反応も時々見られるため、陽性に出ないからといって安心はできません。逆に陽性に出た場合は間違いなく金属アレルギーがあると言えます。
パッチテストで陰性と出ても、症状からして金属アレルギーの可能性を捨てきれない、強く疑う場合には、リンパ球幼若化試験などで確認する必要があります。
- Q金属アレルギーは、薬で治らないのですか?
- 現在のところ、金属アレルギーを完全に治す薬はありません。いかなる抗アレルギー剤用いても、単独で金属アレルギーを止める薬はありません。ステロイドの内服や、体内に取り込まれた金属の排泄を促す薬剤を用いる「キレーション」という治療法をとることがありますが、原因となる金属の除去療法が基本となります。
- Q皮膚以外にも、金属アレルギーの症状はありますか?
- 金属アレルギーが最も問題となるのは、皮膚のかゆみや湿疹ですが、皮膚以外にも症状が表れるケースもあります。、頭痛、めまい、肩こりなど、自律神経失調のような症状を訴える人もいます。
- Q控えた方がいい食べもの、飲みものはありますか?
- かゆみ一般に関しては、アルコールや香辛料などの刺激物はかゆみを増強するため、摂取しないほうが無難です。
食べ物によっては、ニッケルやクロム、コバルトといった金属が多く含まれているものがあります。少量なら問題ありませんが、一度の大量に摂取すると金属アレルギーの症状が憎悪するので注意が必要です。一覧表がありますので、それも参考にしてください。(リンクさせること)
- Q金属アレルギーの人は、金属のアクセサリーをできないのですか?
- ある種の歯科金属に金属アレルギーがあっても、時計やネックレスで必ずしもかぶれるとは限りません。健康な皮膚の上にネックレスや時計などの装飾品を着けていても汗をかいたりしなければ、よほどのその金属に対するアレルギーが強くない限り、アレルギー反応は起きないと考えられます。ただし装飾品の中でも、ピアスなど皮膚を貫通するものはアレルギーを起こしやすいので、注意が必要です。
歯科金属がアレルギーを起こすのは、いつも唾液や飲みものなど液体の中に浸っていて、口の中でイオンという不安定な形態となるため、微量ずつ溶け出だして腸管で吸収されるからです。
ちなみに、装飾品で金属かぶれ(局所性の金属アレルギー)の既性を持つ人は、すでに金属に強い感作(アレルギー)が成立していると考えられるので、歯科金属は絶対に入れないようにしてください。
- Qピアスに直接塗る市販のメタルコートのような製品は有効ですか?
- 最近は、特殊な樹脂を表面に塗ることで金属製のピアスに被膜を作り、金属に直接触れないようにする「メタルコート」なる製品が売られています。
これらはある程度は有効ですが、効果が完璧ではないことを覚えておいてください。例えば、皮膚の付着部に塗り忘れがあったり、汗や摩擦などで一部が剥げ落ちてしまったり、金属面が樹脂をはじいてきちんとコーティングされていなかったりするために、がぶれを起こすこともしばしばあるからです。
- Q金属アレルギー防止の「ピアスカバー」は使えば、ピアスをしてもいいですか?
- 最近売られている。完全に軸を覆ってしまうタイプのものであれば問題ありません。ただしカバーが不完全であったり壊れているものでは、ピアスの金属部分が皮膚に触れてしまうため効果はありません。
- Qピアスをやめてイヤリングにすれば、金属製でも大丈夫ですか?
- ピアスとイヤリングの違いは、ピアスが皮膚の内部の組織を貫通するのに対し、イヤリングは単に皮膚表面に載っているだけという点です。当然ピアスのほうがアレルギー反応を起こしやすいわけですが、すでにアレルギー感作が起きてしまっている場合はどちらをしてもかぶれます。
- Qなぜ口の中の金属は溶けるのですか?
- 口の中には唾液が存在しています。この唾液は消化液であり、そこに歯科金属は常に浸っている状態にあるわけです。さらに酸性やアルカリ性のさまざまな飲みものや食べものが入り、噛むという強い力が加わります。
そのため金属は一見強くて強固なイメージがありますが、電子を放出してイオンという形として溶け出します。
- Q歯科金属を入れて長期間経ってから、金属アレルギーが起きることはありますか?
- 平均的には、歯科金属を入れた5~10年後に金属アレルギーが起きやすいことが知られています。逆に言えば、金属歯を入れた直後に症状が出るケースは極めて稀だということです。というのも歯科で入れた金属が溶け出し体の中でアレルギーが成立するには、ある程度の時間を要するからです。
ただしある金属に対して、すでにアレルギーの感作が起こってしまっていたら、歯科金属を入れてすぐにアレルギー症状が出ます。
- Q金属アレルギーの人は、歯に金属を入れてはいけないのですか?
- 金属アレルギーのある人は、基本的に口腔内に金属を入れるべきではないでしょう。近年は金属に代わるセラミックやレジンといった歯科材料がありますので、わざわざ危険を冒してまで金属を入れる必要はありません。
- Q金属アレルギーと診断されたら、口内の金属はすべて取らなくてはなりませんか?
- 金属アレルギーと診断されたからとって、すべての金属を除去しなければならないわけではありません。なぜなら、たくさん歯科金属歯が入っていても、原因となっている金属はその一部であるケースもあるからです。
まずはアレルギーの原因リスクの高そうな古い歯、磨耗している金属歯、虫歯や歯周病などの危険度の高い歯牙から優先的に処置をしていきます。症状が改善すれば、その時点で治療をいったん中止して経過観察をすることも可能です。
ただし可能であるなら、基本的に全ての金属歯を除去するメタルフリー治療をお勧めします。なぜなら金属アレルギー症状が改善しても、原因となる歯科金属はまだ残っている訳ですから、今後何年後かには同じような病態を引き起こす可能性が十分あるからです。
- Qパッチテストでアレルギーが出なかった金属なら、歯に入れてもいいのですか?
- 大丈夫そうに思えますが、非常に注意が必要、出来たら入れられないほうがいいでしょう。なぜなら、現時点である金属にアレルギーがなかったとしても、金属はどれも比較的構造や性質が似ているため、交差反応(構造が似ていく金属だと、同じようにアレルギー反応してしまうこと)を起こすからです。例えばニッケルにアレルギーのある人のほとんどは、後にクロムやパラジウムにアレルギーを起こすことが知られています。基本的には歯科金属を使用しない、メタルフリーが理想です。
- Qチタンは安全と言われていますが、歯にインプラントを入れても大丈夫ですか?
- 金属アレルギーのある患者さんは、えてして虫歯が多く、そのために欠損歯も多く、歯科でインプラントを勧められる方も多く見られます。たしかに健康な歯が数本でも残っているのにわざわざ全部抜歯して総入れ歯にすることは、食事の面など他の観点からも決して勧められることではありません。その場合、最終的にはインプラントということになるわけですが、これもいくつかの注意点があります。
チタンは他の金属に比べれば圧倒的にアレルギーを起こしにくいことは確かですが、絶対ではないことを認識しておいてください。やむを得ずチタンを用いる場合でも、念のためにパッチテストでチタンのアレルギーがないことを確認しておく必要があります。
最近ではセラミックのインプラントもありますので、その歯科材料を選択するのも良いでしょう。
- Q金属を外してもらうのは、どこの歯医者さんでもいいのですか?
- 金属の除去だけでしたら、基本的にはどこの歯医者さんでもやってくれます。しかしながらやはり金属アレルギーについて詳しい歯科医にかかるべきでしょう。現在の歯科大学では金属アレルギーについてはあまり教育されていません。そのため間違った知識や不適切な治療をしてしまう歯科医もたくさんいます。詳しい歯科医だと歯科金属を除去するにしても、金属の削りかすを出来るだけ飲み込ませないように工夫しますし、その後の治療の選択肢についても豊富で適切な治療が受けられます。金属アレルギーについてよく知らない先生は避けた方が無難です。
- Q歯科での治療には、どのぐらいのお金がかかるのですか?
- 健康保険を使うか自費治療にするかで、治療費は大きく違ってきます。もし全部の歯を自費治療でセラミックにすると、本数にもよりますが高額になります。
金属アレルギーの治療に詳しい歯科医であれば、保険と自費をうまく使い分けてくれることが多く、仮に自費治療になるとしても事前に治療費の見積もりを出してくれます。近年はハイブリットセラミックやジルコニアといったセラミックなども開発されているので、金属アレルギーに詳しい歯科医に相談してみるのがいいでしょう。治療費は治す本数とかかる歯科医よって決まるので、歯医者選びは慎重にしましょう。
- Q歯科で金属の治療をし始めたら症状が悪化しました。どういうことでしょうか?
- 歯科治療で金属の除去が始まると、金属の器具を口の中に入れられたり、気付かないうちに金属の削りかすを飲み込んでしまったりします。そのため普段よりも多くの金属を口腔粘膜から吸収してしまうことになり、一時的に皮膚症状が悪化することがしばしば起きます。これはフレアーアップといい、歯の金属がアレルギーを起こしている間接的な証拠となります。つまり治療が完了すれば必ず良くなるという証です。あまりにひどい場合は、一旦歯科治療を中断して、皮膚科での治療を優先することもあります。一時的に症状の悪化を伴いますがあまり問題とはなりませんので、ご安心ください。
- Q歯科で金属を除去すると、どのぐらいの期間でアレルギーは治るのですか?
- 患者さんにより個人差があるため一概には言えませんが、平均すると原因金属の除去から3~6か月後です。人によっては除去後すぐにかゆみが消える場合もありますが、1年以上経ってもあまり変わりがない患者さんもいます。1、2ヶ月でよくなることは少ないと思ってください。除去後少なくとも1~2年間はフォローが必要です。
これは金属が口腔内に入っていた期間と金属歯の数にも関係します。つまり何十年も歯科金属がたくさん入っていた患者さんは、長い時間かけて体内に金属を蓄えてきたわけですから、体内から消失するのにも当然時間がかかるというわけです。
- Q昨年金属を除去したのに、今年またかゆみが出てきました。どうしてでしょう?
- 歯科金属を除去し、半年以上経っていったん症状が改善しても、季節の変わり目、特にじめじめと気温が上がってくる5~6月に症状が再燃することはしばしばあります。これは、体の中に残っている金属が汗に排出され、皮膚で高濃度に達するからです。
とはいえ、歯科金属は入っているときに比べれば薬の効き目も格段に良いので、すぐに皮膚科の主治医を受診して指示を仰いでください。おそらく、昨年よりも短期間の治療で治るはずです。
「歯科での金属アレルギー治療って、どんなふうに進んでいくの?」
という患者さんへ、当院の治療の流れをご紹介します。