金属アレルギー治療|兵庫・神戸市でアレルギーフリー治療なら「さとう歯科」

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Ⅳ 歯科金属を用いた弊害

金属治療の弊害

はじめに

金属は歯科治療において欠かすことのできない材料であり、その歴史は古く、すでに紀元前から使用されていたほどです。歯科用金属にはいくつかの具備すべき要件が定められており、これらの要件を満たすためにこれまで数多くの研究、臨床応用が行われてきました。その結果、金合金や金銀パラジウム合金、コバルトクロム合金といった金属を使うことによって、機能的な面からはほぼすべての治療が可能となりました。
しかし近年では歯科医療を取り巻く社会環境は大きく変化し、歯科金属に対する問題点も多く指摘されるようになってきました。

金属を用いた修復の問題点

歯科金属は、長年の間歯科修復治療に用いられてきました。しかし、経年によって以下のような問題を招くことがわかってきました。

審美障害
1.メタルの露出

以前には金属のつめ物、かぶせ物が多く使われていましたが、近年では今まで以上に「口元の美しさ」が求められるようになりました。白い歯の中で金属色が露出している状態であることに満足できない方は増えています。それは前歯はもちろんのこと、奥歯であっても同じであり、口を開けたときに見えるのが気になって、笑う時にはつい手で口元を隠してしまう方もいらっしゃるほどです。つまり臼歯部においても天然歯と同等の機能性だけでなく、審美性も望まれる方が確実に増えてきているということです。

  • メタルの露出
  • メタルの露出
2.オペークの使用

かぶせ物の内側に金属(メタル)を使用する場合、その金属色が透けてみえないようにするためにオペークという遮断材を用いる必要があります。銀色の金属色は隠せるのですが、そのかわりに天然歯のような透明感が損なわれてしまい、不自然で単調な色調となってしまいます。特に前歯であれば、隣り合う歯との差はわかりやすく、不満が生じてしまうのです。

  • オペークの使用
  • オペークの使用
3.歯肉の変色

金属修復物の周りの歯ぐきは黒く変色を起こしやすく、見た目を著しく低下させます。修復物辺縁の金属色の透過や、唾液によって溶け出した金属イオンが歯ぐきに影響して変色させていることが原因であることがわかっています。また金属土台を削る際の金属切削片が歯肉に食い込み、メタルタトゥーといわれる刺青様相を呈することもあります。
歯ぐきに取り込まれた金属物質は消化・排泄が困難なため長期間停滞するという報告もあり、一度変色してしまったら元に戻すのは難しいと言われています。

  • 歯肉の変色
4.歯質の変色

歯ぐきだけでなく、歯そのものにも金属イオンはしみ込んで、歯自体を黒く変色させます。とくにアマルガムという金属を使用した場合は顕著であり、確実に黒く変色してしまいます。機能面ではとくに問題がありませんが、やはり審美的には問題となります。

  • 歯質の変色
5.ブラックマージン

表面が白いセラミックのかぶせ物でも、内側のフレームが金属であったり、金属のコアを使用していたりすると、経年的に歯ぐきが退縮した場合に、内側の金属や変色した歯質が露出して黒いラインのように見えてしまうことがあります。これをブラックマージンといいます。形態の良くないかぶせ物や歯周病も伴っている場合は、このブラックマージンはより顕著にみえることになるので、審美性を損なう大きな要因の一つとなります。

  • ブラックマージン
  • ブラックマージン
歯質削除量の増大

白い差し歯は、金属フレーム+白い前装材料という2層構造になっています。そのうえ頬や舌に接する面の豊隆が大きくなり過ぎないようにするために、歯を大きく削る必要が生じます。これはミニマル・インターベンション(最小の侵襲)という概念と相反するもので、生体への負担が大きい治療といえるでしょう。

  • 歯質削除量の増大
歯根破折

重度のむし歯でかぶせ物をする際、50~90%の歯は歯の神経を取って処置していると言われています。そのような歯には、土台となるコアを入れることになります。その土台には従来金属が多く用いられてきました。しかし金属と歯とを比較すると、金属は硬すぎて強度や曲り具合は大きく違います。そのため歯の一部分に力がかかり過ぎて、歯根破折を招く確率を高めてしまいます。とくにかみ合わせのきつい方、かむ力が強い方、歯ぎしりをされる方は歯根破折をおこしやすいです。

  • 歯根破折
  • 歯根破折
金属アレルギー

皮膚粘膜疾患と金属との関係は1960年代より報告されていましたが、治療してお口の中に入れた歯科用金属との関連にはあまり注意が払われていませんでした。その背景には、まさか治療した修復物が皮膚疾患やアレルギーの原因となっているとは思われなかったこともあるでしょう。ただし多様な金属を使用する歯科領域においても、この問題に対応する必要があるのは当然のことでしょう。
歯科用金属は常に負荷がかかる苛酷な口腔内環境での使用に耐えなければならないため、通常の生活環境の中に存在している金属よりも生体適合性が高い材料が使用されています。しかし、それでもこれら歯科用金属に対してアレルギー反応を示すこともあり、不幸にもアレルギーを発症してしまったら、原因となる金属物質を一掃しなければ症状は改善しません。
また、種類の違った異種金属間で発生するガルバニック電流という症状も、金属のイオン化を助長し口腔内への溶出の原因となり、ひいては金属アレルギーを引き起こしてきますので注意する必要があります。

  • 金属アレルギー
  • 金属アレルギー

おわりに

以上、金属を用いた修復を行った場合の問題点を列挙していきました。我々歯科医師サイドからすると、「歯を削って金属をつめる、かぶせる」という治療行為は当然のこと、当たり前のこととして行っています。そのような歯科教育を受けてきたからなのですが、患者さん個々人の治療のニーズが多様化し、アレルギーの問題も出てきている現在、歯科医師サイドと患者サイドの歯科治療に対する認識の違いによってさまざまな弊害が出現してきているのです。そのため上記のような不快事項が極力生じないよう十分な説明と細心の注意を払って治療をしていきます。

Ⅲ 金属アレルギーのメカニズム

金属アレルギーについて トップ

Ⅴ 金属アレルギーの治療法

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参考文献

※本サイトの構築にあたり、下記の文献・書籍を参考にしています。

  • 『Dr.菊池の金属アレルギー診断室』東京堂出版。
  • 『GPのための金属アレルギー臨床』デンタルダイヤモンド社。
  • 『金属アレルギーとメタルフリー治療Q&A』医学情報社。
  • 『歯科と金属アレルギー』デンタルダイヤモンド社。
  • 『Visual Dermatology Vol.10 No.11,Vol.10 No.12,Vol.12 No.4』学研メディカル秀潤社。
  • 『皮膚科サブスペシャリティーシリーズ 1冊でわかる皮膚アレルギー』文光堂。
  • 『アトピー性皮膚炎: 正しい治療がわかる本』法研。
  • 『見分けて治そう! 歯科金属・材料アレルギー』クインテッセンス出版。